2020年1月4日土曜日

2019年、気になったあれこれをざっくり総括。


2020年を迎えるにあたり、今更ではあるが2019年に起こったあれこれを振り返ってみることにした。個人的に興味を持っているのはテクノロジーやガジェット、アプリケーションが中心。しかもメインは視覚支援ということで、かなり偏りはあるとは思うが、視覚障害者としてワクワクしたり考えさせられたことなどを6つのキーワードにまとめて見た。
それに続いて筆者が日々発信してきた情報から印象的だったトピックスを月別にまとめている。アーカイブのダウンロードもあるので、ご興味あればどうぞ。
まあ思いつきのメモ程度なので、こんなこともあったのね程度に読んでいただければ幸いである。2020年もよろしくお願いいたします。


その1:2019年に気になった6つのキーワード。


1. 画像認識AIアプリ。

スマホのカメラで撮影した文字や物体を解析し、読み上げるアプリは以前から存在はしていたが、日本ではあまり注目されてこなかった。それはローカライズの問題だったり実用性に対する疑問もあったかもしれない。
この状況を一変させたのが、2019年のサマーセールで一躍脚光を浴びた「Envision AI」だろう。リアルタイムのテキスト読み上げ機能は、多くの視覚障害者の生活を大きく変えたのではないだろうか。筆者が勝手にライバル視している「Seeing AI」も少し遅れて日本語のリアルタイム認識や年末には日本語化もされ注目された。この2アプリの進化は今年もよう注目である。特にシーンやオブジェクト認識精度の向上に期待。
このほかにも、Googleの「Lookout」、そしてiPhone版のリリースが待ち遠しい「Sullivan plus」など、このジャンルはまだまだアツい気がする。

2. Apple製品。

なんだかんだ言っても、毎日触れ情報取得の基本でもあるスマートフォンやパソコンの変化は日常生活に大きな影響を及ぼすものだ。それは障害のある、なしに関わらず。
で、iOS13。リリースからしばらくはバグも多くストレスもあったが、新機能であるカスタムコマンドやアクティビティは、いまやこれなしではいられないほど便利に使っている。たぶん2020年はiOS14だと思うけど、安定するまで導入はやめようかなあ。でも無意識にインストールしてると思う。
macOS Catalinaの方が微妙かな?動作が重くなっちゃったのは筆者のMacBookが古いのが原因と思うが、日本語Voiceover環境の改善はまだ遠そう。なぜか読みの不具合だけは改善されてるけど。あと今年はApple Watch買いたいです。

3. 屋内ナビゲーション。

2019年も、様々なスマートフォンアプリを用いた屋内ナビゲーション技術が開発されてきた。その中心となるのはBluetoothビーコンを用いる方式で、これはすでにイスラエルの「Righthear」など実用化されているものもある。国内ではこれまで実証実験が繰り返されてきた「Navcog」が、日本橋室町地区において「インクルーシブ・ナビ」として公開されたニュースは大きい。
一方で、ビーコンに頼らないナビゲーション技術にも注目が集まっており、特にスペインの「Navilens」はその使い勝手やコストの面で高い評価を得ている。また国内では点字ブロックにQRコードを敷設するタイプのナビゲーションプロジェクトが複数実用化に向けて勧められている。その一つ「Sikai」は今年中には社会実装が予定されているようだ。
これまで特に日本では技術的な話題が中心だったナビゲーション技術だが、今年はいよいよ本格的に社会実装が進められる年になるかもしれない。どんどん試してフィードバックしましょう。
屋内ナビについてはGoogle Mapsに視覚障害者向けの詳細な音声ナビが追加されたニュースが大きい。とにかくナビはビーコン、測位衛星、画像認識などハイブリッドな時代になりそう?でも同時に施設設備や歩行訓練など多面的アプローチが必要とも思うな。

4. エンターテイメントの包括性。

これは主に海外でのお話。
2019年には大手の玩具メーカーから多様性やインクルージョンを意識した多くの製品が登場した。車椅子や義足のバービー人形点字がついたUNO、LEGOは点字を学習するブロックと、スクリーンリーダーで読むことができるテキスト版組み立てマニュアルをリリースしている。またプログラミング教育をアクセシブルにするMicrosoftの「Code Jumper」にも注目が集まっている。
一方、美術館や博物館、劇場や映画館などの文化施設のインクルージョンに関するニュースも目立っていたし、映画などのメディア制作現場の障害者雇用の議論もよく見られた。
他ジャンルと比べアクセシビリティ的には遅れているイメージが強かったゲーム業界でも、米国ではCVAA法の影響もあり、少しずつだが障害を持つゲーマーを意識したタイトルや製品がリリースされるようになっている。その先人を着るのがMicrosoftだ。
とかく後回しにされそうなエンターテイメントのアクセシビリティだが、文化は生活を豊に楽しくするだけでなく、個人の考え方や思想にも大きく影響を与える分野だ。今年もこの傾向が一層加速することを期待したい。そして願わくばこの波が日本にもやってきて欲しいな。あまり期待はできないけどね。

5. Webアクセシビリティ。

アクセシビリティ関連で2019年、最も注目されたトピックスの一つが、米国ドミノのWeb訴訟の行方だった。結果としては最高裁判所がドミノの上告を棄却し、原告である視覚障害者の訴えを認めた第九巡回裁判所の判決が確定、事実上ドミノの敗訴という結果になった。
この訴訟は、障害者がWebを利用できないことが、公共施設のアクセシビリティを義務付けるada法に違反するかどうかが焦点であり、多くの議論を呼んでいたが、最高裁による判断が下されたことで一応の決着がついた格好となった。それでも、果たしてどこまでが違反で、どこからが違反にならないのかの明確かつ法的拘束力のあるガイドラインが存在していないなど、このあたりまだまだモメそうな予感もする。それでも少なくとも米国ではWebアクセシビリティは否応なく進められるだろう。
一方で国内では、熱心に頑張っている方々もいらっしゃり筆者も大変勉強させていただいているのだが、大勢ではWebアクセシビリティに関する意識は低いと言わざるを得ない。代替テキストはいまだにレア、字幕も音声解説もない動画、配慮のないコンテンツ階層、果てはいまだに採用される画像認証やパズル認証。
障害当事者ユーザーとしては、地道にフィードバックしていくしかないのだろうなあ。跡アプリもね。

6. 読書のバリアフリー。

読書バリアフリー法案が可決し、にわかに動きが活発化してきた読書環境。点訳・音訳とそれに関わる出版社からのテキスト提供問題、電子書籍やPDFのアクセシビリティ、オーディオブックやPodcastなど読書にまつわる話題が多かった。この法律の影響が具体的な形として出てくるのはもう少し先になるのかな。この辺りは不勉強なので、今のところは1ユーザーとしてウォッチ中。コンテンツ提供側の議論と同時に、ユーザーの利便性にも注目していきたい。
個人的に困ってるのは、Macでのデイジー再生環境。情報元む。


その2:2019年、月別トピックス。


筆者はほぼ毎日、興味のある支援テクノロジー関連の情報をツイートしているのだが、その中から2019年に注目したトピックスを月別にまとめて見た。これもまた視覚障害者として偏りのある感じになっているのでご容赦願いたいのだった。
なおツイートした情報はテキストデータにまとめてこちらにアップロードしている(Zip形式)。ご興味あればどうぞ。

■1月

1/4 はじめての世界点字デー
米国でCVAA法がビデオゲームに適用。アクセシビリティを義務化。
ビヨンセの公式Webが提訴される
Birdbox challengeが流行
CES 2019開催
AirPodsのLive listenの裏技が話題に
米国、ドミノのA11Y訴訟。第九巡回裁判所で原告が勝訴。ドミノは上告。
Android 9にダークモードが実装される?
スマート白杖「WeWalk」、NYで実証実験。
Microsoft「Code Jumper」発表。
Bluetooth 5.1策定。測位精度が飛躍的に向上か。

■2月

Google「Live Transcribe」「Sound Amplifier」リリース。
アクセシビリティ関連の絵文字が承認。2019年秋にも登場。
Microsoft、新型HoloLens発表。
国内:パナソニックとJR西日本が大阪でARナビ実験。
国内:DNPなど、新宿駅で「HAND」実験。

■3月

3/18 点字ブロックの日。Googleのロゴも祝う。
インドで点字ラップトップ「DotBook」発表。
英国で視覚障害者に特化した自動運転車の実験開始。
CSUN 2019開催。発表いろいろ。
Seeing AI 3.0リリース。新機能「Photo explore」。
Google Lookoutリリース。まずは北米、Pixcel端末から。
iOS 12.2で導入されたAccessibility eventsに懸念の声。
国内:「Oton glass」がJINSと業務提携。
国内:radikoアプリのリニューアルでアクセシビリティが問題に。
国内:映画『ナイトクルージング』公開

■4月

4/18 イースター。世界各地でインクルーシブな催し。
LEGOが点字教育向けブロックを開発。
マイクロソフト、VRのアクセシビリティを向上させるツールキット「SeeingVR」発表。
Google、Chromeにリーダー機能を追加の動き。
Apple、iOS 12.3、macOS 10.14.5でAccessibility eventsを削除か?
ビデオゲーム「Sekiro」の難易度とアクセシビリティが議論に。
Switchに視覚サポート機能が追加される。
国内:iOS版radikoアプリのアクセシビリティがちょっとだけ改善。

■5月

5/16 世界アクセシビリティ啓発デー。
MicrosoftがXbox用点字コントローラーの特許を申請。
Google I/O 2019。アクセシビリティ関連の発表も多数。
AIRAがボストン近郊で無料サービスを試験提供。

■6月

EU、新車の電気自動車の低速走行時の音響装置を7月から義務化。
チリで皆既日食。視覚障害者も音と点字で観測。
Second Sightの脳インプラント型人工視覚「Orion」。
エルサレム旧市街でスマホを用いたナビゲーションを提供。
スペイン、スマホでマーカーを撮影し視覚障害者をナビする「Navilens」。
国内:読書バリアフリー法が成立。

■7月

Facebookのトラブルで、写真の自動代替テキストの存在に注目が集まる。
インド。触覚で識別できない紙幣に批判高まる。
米国スミソニアン博物館でAIRAサービスを提供。
iPadゲームで視覚支援教育「ObjectiveEd]。
国内:車椅子のバービー人形が日本でも発売。
国内:参院選で2名の重度障害者が当選。
国内:アプリで障害者を支援する「May ii」公開。

■8月

画像認識アプリ「Envision AI」、サマーセールで話題に。
LEGO、視覚障害者向けにスクリーンリーダー対応の組み立て説明書を公開。
作者も視覚障害者。盲目の少女が主人公のコミック「Unseen」。
音声アシスタントでWebを検索し内容を読み上げる「VERSE」発表。
国内:東京メトロ有楽町線で「Sikai」の最終実証実験。

■9月

9/10 Apple発表会。iPhone 11やiOS13などを発表。
米Amazon、Echo Shoで商品を識別する機能「Show and Tell」発表。
PC向けオーディオゲーム「The Vale」のデモ版がリリース。
Xbox用ゲーム「Gears 5」のアクセシビリティが超充実と話題に。
Samsung India、盲ろう者とのコミュニケーションアプリ「Good Vibes」発表。
米国Vispero、JAWSベースのキオスク端末を開発。
X・アンバサダーズ、視覚障害者を意識した音響だけのMVアプリ「Boom」をリリース。
国内:note、画像に代替テキストを加える機能をリリース。

■10月

米最高裁、ドミノに対するWebアクセシビリティ訴訟でドミノ側の上告を棄却。
海外で「Be my eyes」と各社の提携が進む。Google、Microsoft、NFB、P&Gなど。
モバイル向けオーディオゲーム「AudioWizards」リリース。
Apple、iOS13.2ベータで、新しい絵文字を追加。
Google、Chromeのイメージ解析機能を正式ローンチ。
「Orbit reader 20」が、新しい点字ディスプレイ用の標準HIDドライバへの対応を発表。Apple TV+。視覚障害者だけの世界を描くフィクション「See」発表。
米Mattel、点字を備えたUNOカードセットをリリース。
WHO、世界の22億人以上に「視覚障害」があることを、発表。
Googleマップに視覚障害者向けの「詳細な音声ガイダンス」機能を追加。
国内:東京、コレド室町に「インクルーシブ・ナビ」が導入される。
国内:Bose Frames販売開始。

■11月

11/1 点字の日。11/3までサイトワールド開催。
11/15 白杖のひ。
AIRA、MicrosoftおよびMoovitと提携。
韓国、TUAT、AIを用いた視覚障害者向け統合アプリ「Sullivan Plus」リリース。
Logitech、障害を持つゲーマーのためのコントロールキットをリリース。
「Code Jumper」がCESイノベーション賞を受賞。
Microsoft、ゲーム開発者向けにアクセシビリティに関するガイドラインをリリース。
国内:日盲連が「日本視覚障害者団体連合」に名称変更。
国内:公共交通機関のバリアフリー整備ガイドラインを改定。

■12月

12/3 国際障害者デー。
「「Seeing AI」がバージョン3.3で日本語化。
米国Comcastのアクセシビリティへの取り組み。
エミュレータ「 RetroArch」にゲーム内テキストの読み上げ機能を搭載。
インド、デリー。政府が市内400の飲食店やホテルに点字による情報提供を指示。
マドリードで開催されたcオp25で様々な支援技術を提供。
支援技術開発者の草分け、Jim Thatcher氏が死去。


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