2019年11月26日火曜日

盲ろう者とのリアルタイムチャットを低コストで実現する「Orbit Chat Communication System」。


視覚と聴覚、両方に障害を持つ盲ろう者とのコミュニケーションには、多くの制約がある。障害の程度にもよるが、文字を読んだり声で会話することが困難な場合は「触覚」を用いる方法が一般的だ。書類やメールなど時間差のある情報なら点字を用いて読むことができるが、対面してリアルタイムに会話するとなると、ゆびに触れるジェスチャでコミュニケーションする「指点字」が用いられることが多い。そしてその場合、指点字を習得した通訳社を介さなければならないため、盲ろう者にとって大きな負担となる。

米国Orbit Research社は、テキストチャット形式で盲ろう者とのリアルタイムのコミュニケーションを実現する「Orbit Chat Communication System」をリリースした。
このシステムは、同社が販売している点字ディスプレイ「Orbit Reader 20」と、無料で提供される専用アプリを導入したAndroidスマートフォンもしくはタブレットをBluetoothで接続し、メッセージをテキストと点字に相互変換する。Orbit Reader 20と対応スマートフォンもしくはタブレットがあれば、追加のハードウェアは必要なく、低コストで盲ろう者の意思疎通環境を構築できる。

スマートフォンで入力されたテキストメッセージは即座にOrbit Reader 20に点字として表示され、盲ろう者は指先でメッセージを読み取る。一方、盲ろう者はOrbit Reader 20の点字キーボードから点字を用いてメッセージを入力すれば、その内容がリアルタイムでテキスト形式に変換され、相手のスマートフォン上に表示される仕組みだ。点字の読み書きに熟達した盲ろう者なら、スマホユーザーと同等以上のスピードでメッセージのやりとりができるだろう。
またスマートフォン用アプリは音声読み上げに対応しているので、盲ろう者と視覚障害者の間でもスムーズな会話が実現する。もちろん音声操作や音声入力を用いれば、手が不自由な相手ともチャットできる。対応言語は英語だが、ローカライズにより多言語にも対応可能とのことだ。

また1対1のチャットだけでなく、盲ろう者から複数のユーザーに同時にメッセージを送信するブロードキャストモードや、受け取ったメッセージを後でゆっくり参照できる保存モード、ファイルの転送機能なども提供される。アプリはAndroidスマートフォン及びタブレットに対応し、Google Playストアから無料でダウンロード可能。また盲ろう者向けには、Orbit Reader 20とアプリがインストールされたAndroidタブレットのバンドルセットも用意されている。

障害者をサポートする機器はどうしても価格が高くなりがちだ。それは数が生産できないため、ある程度仕方がない面もある。一方、障害者の所得は障害を持たない者と比べて圧倒的に低いのも事実。公的支援を受けられても限界があり、多くの障害者はベストな支援環境を得られずに不便な生活を強いられている。
Orbit Reader 20は、数ある点字ディスプレイの中でも比較的コストパフォーマンスの高い製品。「Orbit Chat Communication System」は、すでに販売されている点字ディスプレイとAndroidスマートフォン、タブレットという汎用製品を組み合わせることで、最小限のコストで盲ろう者の生活を大きく改善させる可能性を秘めている。
このようなデバイスが増えてくれば、障害者の社会参加にも大きく貢献するだろう。

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