2019年3月5日火曜日

視覚障害者の音楽活動を大きく前進させる「触覚バトン」。

触覚バトン(画像引用元

音楽は視覚に障害を持っていても楽しめる芸術だ。聴くだけでなく、カラオケや楽器演奏、作曲など、音楽を趣味として楽しむ視覚障害者は多い。もちろんプロの演奏家を目指す人々もいる。
だが音楽の世界においても、見えない・見えにくいことで発生する障壁は少なくない。
その一つが「指揮者の動きがわからない」ということ。オーケストラで演奏する場合、指揮者の動きが見えなければ、周囲の様子や脳内でカウントするなどしなければならず、大きな負担にもなり視覚障害者が一般のオーケストラに参加する大きな障壁となっていた。
指揮者が見えない演奏者が晴眼の演奏者に混じって、演奏の出だしのタイミングをどうやって掴めばいいのだろう? 素人目にもそれがとても困難なミッションであることが想像できる。

この現状を変えるべく英国で開発されたのが、指揮者の微妙な所作を演奏者に振動として伝える「触覚バトン(指揮棒)」だ。
ちなみに「指揮棒」は英語で「baton」。日本でよく用いられる「タクト」はドイツ語の「Taktstock」から由来している(まめちしき)。

この触覚バトンは、ロンドン在住のVahakn Matossian氏が設計し、プログラマーであるCharles Matthews氏らの協力によって開発された。彼の父親であるRolf Gehlhaar氏が2017年に製作した「Beat Buzz」と呼ばれる振動デバイスからインスピレーションを受け、より反応速度の高いプロダクトに仕上げられている。
オーケストラでの演奏では、ごくわずかのタイミングのずれも致命的となる。そのため指揮者の動きを遅延なしで伝送することが絶対条件だ。これをクリアするため、音響機器メーカーShure社のパーソナルワイヤレスモニターシステム「PSM900」が用いられた。この技術により演奏者が装着するウェアラブルデバイスに、実用的なレイテンシーで信号を伝送できるようになったという。
振動ウェアラブルデバイスは、視覚に障害を持つ演奏者の両腕もしくは両足首に装着され、受信した信号をもとに指揮者の動きの速度や方向、揺れなどの情報を、立体的に伝える。もちろん複数の演奏者に同時に伝送することも可能だ。
このシステムを用いたデモンストレーション演奏会もすでに開催されており、参加した視覚障害を持つ演奏者からも高い評価を得ているという。

触覚バトンは視覚に障害を持つ優秀な演奏家が、一般のオーケストラで活躍できる可能性を広げてくれるテクノロジーだ。才能を持ちながら目に障害があるということだけで音楽を諦めていた者に希望を与えるし、視覚障害者の文化活動も促進されるだろう。それはひいては音楽会全体の利益にも繋がるはずだ。

現在はまだ試作段階だが、2020年には販売若しくはレンタルという形で市場投入をめ座しているとMatossian氏は語っている。彼のWebでは「Human Instruments」のセクションで様々なプロジェクトを展開している。

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