2018年9月10日月曜日

タッチスクリーンの障壁を越える技術


現代社会はタッチパネルで溢れている。
銀行ATM、駅の切符売り場、牛丼屋、コンビニに入ればレジ横には確認用のタッチパネルが待ち構えているし、コピー機やチケットなどを扱う情報端末に至るまで、タッチパネルに遭遇しない方が難しい。あ、自動販売機でもタッチパネル式のものがあるな。最近では家電製品でもボタンではなくタッチパネルで操作するものも増えてきた。

しかしこのタッチパネルは視覚障害者との相性がすこぶる悪い。
確かにATMにはハンドセットで音声操作ができたり、点字が添えられた物理ボタンを併設している場合もあるが、端末のすべての機能をカバーしていない場合がほとんどで、不便なことこの上ない。例えばiOSのVoiceoverやAndroidのTalkbackのように、タップして読み上げ、ダブルタップで実行、といった操作に対応してくれればいいのだが、すでに普及している端末をアップデートするのは困難だしプライバシーの問題もある。結局現状では視覚障害者が一人でタッチパネル端末を使用するのは「ほぼ無理」と言わざるを得ない。

そのような悲しい現実を変えてくれるかもしれないデバイスが開発されている。
カナダ、ウォータールー大学で機械工学を学ぶCraig Loewenらが率いるチームが開発中の「WatVision」は、指に装着するリングとスマートフォンアプリを使用し、視覚障害者のタッチパネル操作を支援する。
大まかな操作方法は、

1.WatVisionアプリを起動して、スマホのカメラでタッチスクリーン全体が収まるように構える。この時アプリは、タッチパネルのエッジを検出し、音声でナビゲートする。
2.指にリングを装着し、タッチパネルの上にかざすと、その位置の文字を読み上げる。

つまりリングはトラッキングの役割を担い、アプリがリングの位置を検出して操作を支援する仕組みのようだ。厚みを持ったリングは3Dプリンターで出力され、指に装着してタッチパネルの上をスライドさせても誤動作しないような素材で製作されている。タッチしたいボタンが見つかったら、指を少し傾ければタッチ操作を実行できる。将来的には振動モーターをしようした触覚フィードバックの追加も計画されているようだ。

WatVisionはまだ開発まもないプロジェクトのため、画像を用いたボタンなどが認識できないなど多くの課題がある。だがタッチパネルの問題をつまびらかにし、実現可能なプロダクトとして公開したことは、視覚障害者にとっても大きな意味のあるプロジェクトだろう。
チームはアプリをオープンソースとしてGitHub上に公開。世界中の開発しゃにタッチパネルに潜む深刻な問題の解決を呼びかけている。

それにつけても、タッチパネルのアクセシビリティは、もう少しどうにかならないものか。音声対応は時間が掛かるとしても、色反転やコントラスト調節、拡大文字などは難しくないようにも思えるのだけれど。
不特定多数が利用する可能性のある端末だからこそ、障害者や高齢者にも配慮した製品が望まれている。

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