2018年6月22日金曜日

駅構内での歩行訓練を受けました


視覚障害者の歩行に欠かせない「歩行訓練」


視覚障害者にとって、単独での移動は大きな課題の一つです。もちろん残存視力の程度や見え方などにより不自由さは異なりますが、白杖を使って目的地まで安全・確実に歩行するにはそれなりのテクニックが必要となります。少なくとも全盲に近い重度の視覚障害者が、何の手助けもなく一限の場所に到達するのは、不可能ではないにしろ相当の経験が必要でしょう。
近年では点字ブロックの整備やスマートフォンなどを利用したナビゲーションの登場で少しずつ環境は改善されていますが、視覚に頼らない歩行方法や、白杖を駆使して危険を回避するテクニックは身につけておかなければなりません。
そのような白杖歩行の基本を身につけられるのが「歩行訓練」という福祉サービスです。

歩行訓練は視覚障害者支援施設が提供するサービスのひとつ。白杖の使いかたに始まり、視覚以外の感覚を駆使した歩行方法、さらにあらかじめ設定した歩行ルートを実際に歩き、道順を脳内のマップに記録するまでを訓練してくれます。
筆者は2017年夏に3か月ほどの訓練を受け、白杖歩行の基本を習得しました。


今回は引っ越したことで、新しい歩行ルートの確認と、前回は行わなかった鉄道による移動の訓練をお願いしました。新居は駅からほど近く、点字ブロックの整備も進んでいたので、自主トレーニングである程度の単独歩行は可能な状態で訓練を依頼。昨年の訓練で身につけた基本的な歩行テクニックが大いに役立ちました。
なので今回のメインは、駅構内の歩行ルートの習得と、駅ならではの歩行テクニックの訓練がメインです。

なお本エントリーの内容は私の体力や歩き方に基づいて指導いただいたものです。当事者におかれましては、こんな雰囲気なのね、と参考程度にお読みいただき、実際の歩行にあたっては、歩行訓練士のレクチャーを受けることを強くおすすめします。


今回の訓練の目的と内容


今回の訓練は、最寄駅から都内へ出るための電車の乗り継ぎルートの習得が目的です。
大まかな訓練ルートは、

・自宅から最寄り駅までの歩行ルートを確認
・最寄駅から地下鉄(ホームドアあり)に乗車
・乗り換え駅で降車、JR線に乗り換え
・乗り換え駅からJR線(ホームドアなし)に乗車

の往復分です。
JRの駅は上り下りでホームの構造が少し異なるので別々に練習します。

JR駅から先は品川で京浜東北線に乗り換えて秋葉原まで行くのですが、品川乗り換えは以前から単独で乗り換えていたので多分大丈夫。ていうか時間的に訓練受けるのが難しかったのですけどね。
品川での乗降口の情報を教えてもらい、その部分は自主練習することになりました。

訓練内容は、駅構内とホームの歩行ルートの習得、電車の乗り降りがメインです。


駅構内での歩行と白杖の使い方


自宅から駅までのルートをざっと確認してもらい、いよいよ駅構内の訓練開始です。ここからが本番。外歩行と異なり、階段やエスカレーター、そして駅ホームといったさまざまなギミックが待ち受けています。
歩行の基本は平地での歩行と同じ。
脳内に地図を描いて、音や点字ブロックで自分の位置を確認しながら歩く原則は変わりません。街中に比べ、改札から発信される音響サインや点字ブロックが整備されているので、脳内マップさえ完成すればさほど困ることは無い印象です。それでも訓練士さんとあれこれ確認しながら、駅校内ならではの歩行ポイントを習得しました。

・杖先はできるだけ接地させる
白杖を左右に振って歩くのは同様ですが、下り階段やホームの端をよりクイックに探知するため、杖の先はできるだけ浮かさないのがコツとのこと。
パームチップの白杖が欲しくなりました。

・エスカレーターより階段
エスカレーターと階段が並列になっている場所では、点字ブロックは階段につながっています。無理にエスカレーターに乗ろうとするとノボリクダリを逆に乗るなど事故の元になり危険です。
安全・確実に移動するなら階段がベター。ただ下り階段は手前の警告ブロックをしっかり確認する必要があります。
エスカレーターしかない場合は音を頼りにするか目印を見つけて乗る感じです。これは少し難題ですね。

・階段のの上り下り
階段を探知したら手すりを見つけ、一段先を杖で探知(下りは杖を落とす、上りは次の段に杖を当てる)しながら上り下りします。

・扉の開閉確認
エレベーターやホームドアが開くのを待っている時、周囲の騒音などでドアが開いたかわかりにくい場合があります。
そのような時は、杖先をドアに軽く当て、開いたことを確認したらすぐに引く、という所作が有効です。

・エスカレーター問題
今何かと論争になっている「エスカレーターどっちに乗る」問題。
首都圏では左側に乗るのが通例になっていますが、壁などを伝って乗ると、どうしても右側に乗らざるを得ない場合があります。混雑時はトラブルを避けるためにもできるだけ左に乗る方が良いとアドバイスされました。
右のベルトに触ってもすぐに乗らず、杖を左にふって左のベルトを探して乗る…という感じですが、逆に混雑時にこれやるのも危険な気もします。
これは時と場合によるな…というのが正直なところ。
安全第一ですね。


ホームでの移動方針


さてホームまで到達しました。
訓練士さんと相談し、階段やエレベーターでホームに出たら、あまり移動せずにその位置から乗車し、降りた駅で乗り換え口なり改札口まで歩くという方針にしました。
乗車時はすでに電車を待つ人が点字ブロック付近に並んでいることが多くうろうろ歩くのはちょっと危険。同じ距離を歩くのであれば降車して人並みが落ち着いてから行動した方が安全だし慌てないだろうという計算なのです。時間は少しロスしますが……。
これは見える人とは逆の発想ですね。時間より安全を優先です。

ホームに出たら、乗るホームの点字ブロック(いわゆる「黄色い線」)を確認し、少し内側に下がって電車を待ちます。


電車の乗り降りのポイント


ここが最も神経を使う場面です。
電車が到着したら、まず乗降口を見つけなければなりません。ホームドアがあればホーム柵を辿れば簡単に到達できますが、ホームドアが無い場合は自力で探します。

・点字ブロックを基準に電車に対し直角に接近
・杖先でホームの端を確認。踏み外さないように注意
・杖でホーム端を確認しながら手で車体を辿って乗降口を見つける
・乗車口の正面に立ち、ホームの端を「両足」で確認
・杖で電車とホームの隙間、高低差を確認
・可能なら車内扉横の手すりを持つ
・車内に杖を入れ、乗る場所を杖先で確認(肩幅くらいの範囲)
(上記の所作を「スクリーニング」と呼ぶ)
・スクリーニングした場所に一歩で踏み入れる

雨などで滑りやすくなっている時はちょっと怖いですね。
降車も同様で、乗降口の端を足で確認し、電車とホームの隙間をチェック。ホームをスクリーニングして降ります。私は降りるときは手すりを持たない方がスムーズでした。、


到着地の確認とホームでの歩行


訓練中駅員さんに問い合わせて、
・行きの品川駅での降車位置と階段の位置
・帰りの品川駅の乗車位置と、降車駅の降車位置
を確認して、電車を降りてからのルートを練習しました。。

電車から降りたら、人の流れを聞きつつ安全そうな場所で電車が去るのを待ち、脳内マップにしたがって点字ブロックの内側を杖先で辿りながら目的の乗り換え口へ移動します。

ホームドアの無いホームを歩くのはやっぱり少し怖いですね。
特に島式ホーム(2つの線路がホームを挟んでいる構造)では、点字ブロックの内側と外側を間違える危険性が高く、点字ブロックのどちらに線路があるか随時確認が必要だと感じます。
そのためにも杖先を浮かさずに幅をキープした白杖捌きが重要です。

むしろ脳内マップが完成して歩き慣れたときに、思っていた場所と違う位置を歩いてヒヤリとすることも十分考えられます。肝に命じて歩かねば。


まとめ


というわけで、今回の訓練は2回で終了でした。
後日単独で品川での乗り換えに挑戦しましたが、細かい部分で迷いながらもほぼイメージ通り移動できました。何回か繰り返せば、迷うこともなくなるかな?
慣れたらエキュートで買い物して帰れるようにしたいものです。

繰り返しになりますが、駅での歩行そのものはバリアフリーが進んだこともあって、構内図と点字ブロックの繋がりが頭に入っていれば、大きく迷うことは少ないように感じます。
ただ、階段やホームからの転落という命に関わるリスクは、常に心にとめて歩かねばと思うのでした。

ホームドアの設置も進んではいますが、今日明日で完成するものではありませんからね……。杖先と足裏に神経を集中させて、安全な単独歩行を心がけます。

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